NTN:転がり軸受の高精度余寿命予測技術を開発〈技術紹介〉
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NTN:転がり軸受の高精度余寿命予測技術を開発〈技術紹介〉

Jul 23, 2023

AIを活用した機械・設備の適切なメンテナンスで生産性の向上に貢献

NTN株式会社(以下、NTN)は、複数のAI手法を組み合わせて、高精度に余寿命を予測する技術を開発しました。 軸受故障の原因となる剥離発生後の使用限界までの残寿命を高精度に予測することで、機械・装置の効率的な保全計画を立てることができ、生産性の向上とコスト削減に貢献します。

機械や装置に使用されるベアリングは、使用条件によっては軽微な剥離が発生し、最悪の場合故障につながる可能性があります。 ただし、装置の構造や設置場所により軸受のメンテナンスが困難な場合には、動作に影響がない範囲で軸受を継続して使用する場合もあります。 振動データから異常を検出することで軸受の状態を把握できます。 しかし、ベアリングにフレーキングなどの異常が発生した後、どれくらい使用できるか(余寿命)を正確に知る方法はなく、できるだけ早くベアリングを交換するか、ベアリングが損傷してから交換するのが一般的です。 また、交換時期は現場作業員が長年の経験などから判断しているケースが多く、生産システムの省工数化や自動化が進む中、高精度な残寿命予測のニーズが高まっています。機械や装置などのダウンタイムを短縮し、メンテナンスコストを削減するために、ベアリングの交換時期をより正確に決定する技術。

NTNが開発した余寿命予測技術を、ディープラーニングとベイジアン学習を組み合わせて改良し、軸受の剥離発生から損傷に至るまでの余寿命予測の精度を向上させました。

数あるAI手法の中からNTNが選択したのは、畳み込みニューラルネットワークと呼ばれる画像処理に特化したディープラーニングです。 軸受の振動データを画像データに変換して利用することができ、軸受の損傷状態や余寿命を予測することができます。 さらに、軸受の損傷進行度合いの個体差や測定データのばらつき(誤差)を考慮して予測値の信頼性を評価する階層型ベイジアン線形回帰を組み合わせて、信頼性の高い予測モデルを構築しました。 損傷状況も考慮することで、従来技術に比べて余寿命の予測精度が約30%向上しました。

この技術は、2017年に国立大学法人大阪大学(本部:大阪府吹田市)大学院工学研究科内に設置された「NTN次世代研究連携ラボラトリー」※での共同研究の成果です。 NTNが100年以上培ってきた技術や知見と、産研(産業科学研究所)の福井健一准教授ら同大学の最先端AI研究の知見を融合することで実現した。大阪大学。)

NTNは、センサ技術とIoTを組み合わせたサービス・ソリューション分野への取り組みを進めており、軸受の異常を検知する「NTNポータブルバイブロスコープ」や常時軸受診断アプリケーションなど、軸受のメンテナンス性向上に貢献するさまざまな製品・サービスを提供しています。ベアリングの状態を監視します。

NTNは今後も本技術の実現可能性を検証していきます。 この技術をメンテナンス関連のサービスに活用することで、機械・装置の適切なメンテナンスや軸受の最適な使用を通じて、生産性の向上と環境負荷の低減に貢献していきます。